研究の背景:先進的コンセプトによる戦略

医療のパラダイムシフト(図1)

症状が出て治療を始めるのでは、治癒できない場合が多々あります。症状が出る前に予測し治療を開始すれば、はるかに治癒しやすいと考えられます。また病気になりやすさは、個々人で異なります。従って、個々人の病気を予測して治療を行う(予測個別化医療)ことにより、より健やかな社会を築くだけでなく医療費の削減も可能になります。

統合する生命科学の必要性(図2)

現実は、がんや糖尿病など本質的な治療のない疾患が多く残されています。これまで4百年にわたり、生命を要素に分解する要素還元的解析が行われ、疾患に関わる多くの遺伝子が見出されてきましたが、このアプローチだけでは限界に達しているからです(図1上) 。

そのため要素を統合的したシステムとして生命を理解するシステムバイオロジーにより、これまでの臓器別・症状別の疾患分類とは異なった本質的な疾患の分類・再定義が生まれて来ています(図1下) 。